【無課金遊楽録】クローバーシアター編第20回【どこまでも続け、Rキャラの夢よ】
【前回までのあらすじ】
Omochiちゃん団長はガチャやサイドイベントにまつわる様々なトラウマを乗り越え、最強団長Omochi神として覚醒した。
喉から手どころか足の先まで出るくらい欲しくて仕方がなかったSSRキャラのクレイオをゲットし、最強団長Omochi神はゴキゲンな日々を送っていた。
そんな状態で迎えた4月29日のメンテナンス。
様々な新要素が追加された当メンテナンスで、何やら「やばい奴」が劇団の元へ訪れたようで…?
ハムスターギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴
メンテナンスが行われる前日、筆者は「あるキャラクター」に目をつけていた。
こいつはやべえぞ、と。やばい事しか書いてねえぞ、と。実装された暁にはとんでもないことになる…なりかねない。
そして迎えたメンテ明け、最強団長Omochi神たる筆者は自らの最強っぷりに磨きをかけるべく、そのキャラクターを迎えに行った。
そのキャラクターとは……
……そう、彼女だ。ハムスター遊侠騎士団の一人、ロバースティンロードだ!
トップ画面の真ん中でブレイブフォーエバー3世と並んでいる、その人だ。
彼女の持つ「ヤバさ」にかねてより注目していた筆者は彼女を劇団に迎え入れると、即座に持っていた魔素結晶を惜しみなく注ぎ、レベル100へと到達させる。
そして今度は専用武器の強化へ。ここでも惜しむことなく強化本を注ぎ込み、全レベルをカンストさせる。
そして残すは特訓メニューの数々。
この時のために稼いでおいたプレゼントコインの貯金を全開放、次から次へとプレゼントを渡していく。
最後のプレゼントを渡し終わり、「ほい特訓完了!」とRTAをやり切ったような顔つきで特訓メニューを開く筆者だが、ここで大ボケをかます。
上にも書いてあるが、特訓メニューの中には「バックハウスで演技を行い、一定値以上の経験値を獲得しなければならない」という項目がある。それをすっかり失念していたのだ。なのでこの記事を執筆しているその裏でロバースティンロードに演技をしてもらっている。
追記:21時55分、経験値を2400稼ぎ切ることに成功。これで全ての特訓が完了した!
と、そんなこんなであっちゅーまに完全に育ちきったロバースティンロードちゃん。
身長は123cm、体重は32kg。好きな物は音楽でイラストレーターはBison倉鼠先生な彼女。
ちなみにハムスター先生は自身の担当したイラストのどこかに毎回自分の肖像画のハムスターを描くお遊びを入れることで幻萌のゲームユーザーからは馴染み深い先生だ。
それは完全な余談だが、ハムスター先生が本当のハムスターキャラを描くということでβテスト時代から*1注目を受けていた彼女。
筆者ももちろん幻萌ファンなのでそこには判明当初から「むむっ…!」となっていたが、しかし今回注目していたのはそこではない。
彼女、ロバースティンロードのスキルに関してだ。
まず目を引くのがこの開幕スキル。
「戦闘開始時、味方キャラ全員の攻撃は35%上昇し、速度のステータスは+50される。この効果は5ターン続く。」
……???
何かがおかしい。開幕でバフをかけるキャラクターは他にも多数存在するが、その大半は数%くらいの補正である。だがこのロバースティンロードちゃんは格が違う。35%…35%だ。桁が違う。このスキルだけでもSSRを狙える程に優秀だが、ついでとばかしに速度も50点上昇させてくれる。そしてあろうことか5ターンというかなりの長期間に渡ってこの補正が活き続ける。
とんでもないバフキャラですよコイツァ……。やべえですぜ本当に……。
だが格が違うと言ったのには理由がある。そもそも彼女、バフキャラではない。
……そう、殴り屋だ。それも全体攻撃に秀でた、全方位ぶん殴り屋だ。
事もあろうに彼女は自分で底上げした攻撃力で敵全体に殴りかかってくるのだ。自分で自分を強化して敵を音楽でぶん殴って倒すその様は、どこぞのモンスターをハンターがハンティングするゲームの狩猟的な笛を彷彿とさせる。
幸い(?)にも素のステータス自体は大した数値ではないが、宝石などで基礎ステータスを伸ばしてやると、補正込みで攻撃力が並のSSRアタッカーを超えてくる。その可愛らしい面構えやちんまくて愛くるしいボディとは似ても似つかぬ、ガチガチのパワーアタッカーなのだ。
それを示すかのように、設定されたロールは【ハンター型】。
……これがいけなかった。
ハンターにはある特権がある。正義の特権だ。立ちはだかる悪を殲滅する『正義必勝』がハンターには許されている。
「血月の古城」で結晶ポイントと交換で入手できるこの劇照。
対象はハンターロールのキャラ限定でダメージを50%跳ね上げるとんでもない代物だ。
もうお分かりいただけただろう。
『正義必勝』による50%バフと、自身のバフにより、ロバースティンロードちゃんはなんと85%も上昇した攻撃力で敵全体をぶん殴ってくる。
ここまで来ると末恐ろしいものがあるが、まだ止まらない。他にハムスターキャラがいるなら奥義スキルの効果により空前絶後の105%アップまで到達するのだ。劇照の持続ターンの都合上、105%火力が放たれるのはたった一撃のみだがその一撃は見かけに相反する超ヘビーな一発になることだろう。
そんなスーパーヘビー級アタッカーが、このロバースティンロードちゃんなのだ。
そして彼女と組み合わせることで輝きを増すキャラがいる。
サンドラヴィーだ。特殊スキルと奥義スキル、直接攻撃するスキルがどちらも全体攻撃ということで登場してから今に至るまで引っ張りだこな彼女だが、ロバースティンロードとの相性の良さは格別の一言だ。
自身もハンターロールのキャラなので『正義必勝』の対象となり、ロバースティンロードちゃん共々85%上昇した超火力で敵を薙ぎ払ってくれる。
強烈なバフと引き換えに素のステータスは比較的おとなしめなあちらとは異なりこちらは見て分かる通りに根っからのアタッカーなステータスだ。その攻撃力は宝石や装備品次第では3000の大台にまで到達するほどであり、それが85%も上昇されたらとなると……考えるだけでもぞくぞくする。
そんな荒ぶる神の鳥にもなり得るのが、この『正義必勝』×ロバースティンロード×サンドラヴィーの組み合わせの恐ろしいところだ。
ちなみにそこへ白も加わると、最終的なバフの量は93%にまで上昇する。
というかパーティの相性補完の都合上、白はマストで入ってくるメンバーなので大体いつも93%バフで敵全体をぶん殴れることになる。尋常ではないがこれが尋常なのだ。
そんなおバカ火力AOEパがどこまで通用するのか、実戦に投入してみた。その相手は……
カタリナお嬢様!
そう、ロバースティンロードの実装と同日に「時空回遡」に新たに追加された攻略キャラだ!難易度は当然のように絶境!パーティには前回記事でもその脅威性が語られた超火力タンクのアイシルが当然のように混じっている!
最難関を極める難易度だが、果たしてハムスターと鳥と鯉、半羊人ついでに吸血鬼からなる異種族脳筋会は打倒できるのか!
運命の一戦が遂に幕を開け、熾烈な攻撃が乱れ飛ぶ。敵味方ともに奥義を繰り出し合い、ド派手な殴り合いが展開される。
だが『正義必勝』を軸にした超火力ビートは高難易度の敵にも確かに有効なようで、4ターン目で早くも首魁たるカタリナお嬢様とアイシルがダウン!
ミノドラ嬢は持ち前の粘り強さでこの後もしぶとく生き残り続け、自らの脅威性を発揮せんと奮闘し続ける。だが火力アタッカーの姉と馬を失った妹なぞ恐るるに足らず!
ハムスターたちは攻撃の手を緩めることなく苛烈な攻撃を繰り出し続け、7ターン目にして吸血鬼姉妹を完全撃破!残すは大した攻撃ができるわけでもないバンシーとキョンシーだけ。死体が何するものぞ!幽霊が何するものぞ!
死体ではあるが生命力には満ち溢れている彼女たち。
そのタフネスの前に、『正義必勝』の輝きやロバースティンロードの強力な援護を失った脳筋会は攻めあぐねる。
だが努々忘るるなかれ。キョンシーだろうがバンシーだろうが殴り続ければいつかは倒れる!1回殴って倒せないなら10回殴って倒すのだ!10回でだめなら100回!100回でだめなら1000回殴るのだ!これぞインストラクション・ワン!
どこかで聞いた覚えのあるインストラクションに則りチームは全力攻撃し、かかること12ターン。
完全撃破達成!快勝とも圧勝とも大勝とも言えるド派手なデビューを脳筋会は飾ったのだ!
やはり想像してた通り強かった。ロバースティンロードは懸念していた通りのやばい性能をしていた。
正義の脳筋会、この最強すぎる最強火力パーティに敵う相手など、もはやどこにもいないのではないか!?
最強団長Omochi神の神撃を止める者はいないのか――!?
いた。一人、いた。
カタリナお嬢様と同時に実装された、血に飢えた地獄の狼がいた……。
VS.クレイオ
このパーティの特徴は、超強力な敵全体への攻撃だ。それに秀でているぶん、敵単体へのダメージは意外と少ない。
奴は、クレイオは、その弱点を見事に突いてきた。
個人の力を限界まで高め、タイマンによるドつき合いに邁進する。それがクレイオのスタンスだ(勝手に言ってる)。
これはもしやすると……もしやするかもしれない。
最強団長のOmochi神の額を冷ややかな汗がツツーッ…と伝っていく。
だが負ける気はない。こちらは最強団長が選んだ最強の集団なのだ。
意地とプライドがぶつかり合う一戦が幕を開けた!
93%火力が発揮されるのは開始から数ターンの間。その間にケリを付けてやる!
そう言わんばかりに脳筋会は猛烈な攻撃を繰り出し、クレイオのHPをガンガン削っていく。
3ターン目にはクレイオのHPは7万を切り、5万にまで減っていた。
……よし、イケる。
Omochi神が勝利を見据え手のひらをグッと握った時、異変が起きた。
クレイオのHPがいきなりものすごい勢いで回復し始めたのだ。
一体何が……と、未知の事象を前に脳筋会に不安の空気が漂いだした。
しかし何があろうと殴って殴って殴り飛ばせばいいのだ。インストラクション・ワンを思い出し、再び攻撃し続ける脳筋会たち。
だがいくら殴ろうにもクレイオのHPは突然として回復を始め、それまでの攻撃がすべて水の泡。倒せない…倒しきれない!!
やがてロバースティンロードのバフも消え去り、脳筋会はほとんど素の火力に近い威力の攻撃でクレイオと相対せねばならなくなった。
そしてクレイオは、そんな攻撃で落とされるほどやわな鍛え方はしていない。
だがこちらのイリス&白の前衛コンビも、クレイオの攻撃で落とされるほど無力な盾でもない。
そんな両者の勝負は長引く…どころか千日手状態となり、28ターン……
70ターン…………
83ターン経っても、全員健在のままであった。
脳筋会のメンバーも、そして最強団長Omochi神も、薄々感づいてはいた。
自分たちでは無理だ、と。クレイオの自動回復能力に全く打つ手の無い自分たちでは無理だ、と。
94ターン。脳筋会、堕つ。
この敗北は脳筋会というコンセプトパーティだけの敗北ではない。
ただ攻めるだけでは絶対にクレイオを落とせないという不条理にも近い事実が劇団を襲ったのだ。
どうすればいい……どうすればクレイオの壁を突破できる……!?最強の神撃は、もはやここまでなのか……ッ!
無力感に苛まれ、机に苛立たしく拳を打ち付けるOmochiちゃん団長。
たった一匹の狼の前に、最強の神話は脆く崩れ去るのか…………。
「いや、それは違うよ」
哀しげなOmochiちゃん団長の背中にかかった二人の声。
誰だ?あの化け物狼を倒せるSSRキャラなんて育てた覚えはないぞ……。
声の主らを訝しく思いながら、ゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは――。
「そりゃそうだよ。だって僕らSSRじゃないし」
どこまでも続け、Rキャラの夢よ
不沈の魔狼が待ち受ける戦場に立っていたのは、ふたりのRキャラだった。
フレネッタとガルベット。そう、かつてRキャラオンリーパーティを作るぞ!という企画で数あるRキャラの中から抜擢されたふたりだ。
確かに君たちは強い…ステータスだけならSSRキャラにも匹敵するだろう。だがそれがなんだ!アイツは死なない!倒れないんだぞ!君たちの牙や爪なんて届かない!先の戦いを見ただろう!どうせ今回もまた――
喚き散らすOmochiちゃん団長の口にダクトテープを巻きつけ、ふたりは言った。
「信じてよ」と。真っ直ぐにOmochiちゃん団長を見据え、そう言った。
彼女たちの瞳に宿る炎は、ただ闘志に燃えているだけではない。何かしらの勝機を確信した上での炎だ……勝てるのか……?お前たちで……?信じていい……のか?
いや、信じる他あるまい。かつて自分が信じて見込んで育てた自慢のRキャラだ!そんなふたりを信じなくてどうする!やるぞ!やるんだ!この半Rキャラパーティで地獄の番犬を地獄送りにしてやるんだ!
そう強く意気込んだOmochiちゃん団長は導かれるがままに劇証をセット。
先ほどとは異なる組み合わせだ。特に目を引くのが「火炎の精霊」。
熱度がMAXになれば高確率で1ターンの間動きを止められるが、有効に働くのか……?
それ以前に前の回復効果のある劇照を抜いて、それで前衛のふたりは耐えきれるのか……?
ひとつ希望を見ればひとつの懸念。
だがやはりイリスと白も同じ瞳でOmochiちゃん団長に言うのだった。
「信じてほしい」と。
かくして誇りをかけた大一番の戦いの火蓋が切って落とされた!
勝負開始から3ターン。脳筋会のメンツほどではないが、良いダメージを出せている。
元々フレネッタとガルベットは単体攻撃に優れたキャラ。こういう戦いであるならば脳筋会の連中にもダメージレースでは引けを取らない!
しかし迎えた4ターン目にして、クレイオ特有の超回復能力が起動。
イリスも懸命に攻撃を仕掛けるが、HPの量はほぼ全快に近い状態だ。
それでも彼女たちならきっと何かを起こしてくれる。
そう信じ続けるが、どれほどダメージを与えても回復量がそれを上回っていく。
やはり、か――落胆しかけ思わずうつむくが、先程の彼女たちの声が心に響く。
「信じてほしい」
ただただそう言っているのに、どうしてそれすらもできないのだろう?
自分の不甲斐なさに自嘲しながら諦め半分で顔を上げた時、眼前に広がっていたのは信じがたい光景だった。
クレイオが、押されている……?
そ、そんな馬鹿な……!?アイツは脳筋会の攻撃ですらも全快してみせた化け物!それがどうしてRキャラふたりの攻撃にここまで押されている!?
思わずたじろぐOmochiちゃん団長だったが、ここでふと思い出す。
どうして彼女たちを育てるキャラに抜擢したのか、というそもそもの理由を。
いくつものRキャラから、どうしてガルベットとフレネッタがアタッカーとして選ばれたのか。
そうだ…「出血」だ……!出血の状態異常を与えられるから、彼女たちをアタッカーに選んだんだ……!
出血は速度が3%低下し、行動の終了時に最大HPの1.5%のダメージを受ける状態が3ターン続く状態異常。しかしそれだけではない。何度も重ねがけしていくことで「出血」はやがて「致死」へと悪化。3ターンの間、回復量が60%減少する状態異常が付随する。
だからだ…だからクレイオは押されているんだ!
本来なら全快するはずの回復が「致死」のせいで阻まれて完全には機能しないからここまで追い詰められているんだ……!
だから言ったんだ…「信じてほしい」って……!
理由があるから相手に強く託すことができる。ガルベットとフレネッタは、自らの持つ武器が有効に働くだろうと考えて立ち上がったのだ。そして実際に、最大限に武器の特性を活かしきってみせたのだ。
たかがRキャラ、されどRキャラ。低レアリティの牙が、着実に地獄の番犬の命を削り取っていく。
たまらず回復しようと試みるクレイオだが、致死はそれを許さない。
本来ならば一気に全快まで到達したであろう未来も、狼と虎の爪牙の力にかかれば捻じ曲げることだってできる。
死は平等に訪れるもの。覆しようのない生命の根本原理を刻み込むかのように、一歩、また一歩、クレイオを追い詰めていく。
そして23ターン目。フレネッタの牙と爪がクレイオの肉体……魂に食い込んだその時。
長きにわたる死闘は、
Rキャラたちの勝利で静かに幕を下ろした。
どんな相手にも通用するパーティなんて存在しない。
使い方ひとつでRキャラでも希望の光になることができる。
彼女たちの勝利は、クローバーシアターというゲームの在り方を示すかのようだった――。
To be continued…?